落合真司
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※落合真司氏の2006年の著書「音楽は死なない」には谷修も10ページほど掲載されています!
●まず、谷修さんがデビューアルバム『カラフルビーム』をリリースすることになった経緯を教えてください。
「2009年10月にオーディションに受かって、アルバムリリースのチャンスを得たのがきっかけですけど、今まで歌ってきた楽曲を集めたものではなく新作でリリースしようと思ったんです」
●楽曲を作っていた期間はどれくらいありましたか?
「2009年11月から2010年3月までを楽曲作りの期間にあてていたのですが、延びて5月半ばまでかかりました」
●やっぱり産みの苦しみは大きかったですか?
「今まではリリースしたいときにリリースしたい曲をレコーディングしていましたが、今回はそういう作り方ではなかったですし、書いても書いてもダメ出しされることが多かったですね。『Enquete』『秋を並べて』は前からあった曲なので、ボーナストラックを入れると新曲は5曲になるんですけど、結局20曲ほど書きました」
●自分の歌を否定されて、どのような気持ちでしたか?
「逆にどんな曲を持って行っても肯定ばかりだと期待されていないのかなと思ってしまいます。だから否定してもらってうれしかったです。
●そうやって出来たCDですが、ジャケ違いで2枚同時リリースなんですよね。
「ジャケットが昼と夜とで対照的で、ボーナストラックも対極にしたいと思って、センチメンタルなバラード曲とロック曲にしたんです。センチな谷修とロックな谷修、どちらでも選んでもらえるようにしました」
●収録曲についてひとつひとつお尋ねしたいんですけど、1曲目はキラキラPOPな『カラフルビーム』ですね。
「アルバムの1曲目はとても大事で、インパクトのあるリードトラックを作らなきゃと思い苦悩しました。恋に落ちて愛になってその先がわからないという『シャッター』(2005年/EP『すこぶる好調』)という曲があるんですけど、その続編を作ろうと思ったんです。ただし、より大人になって愛の先が見つかった……ではなく、恋愛は万人のものだし、どこの国のどんな人が聴いてもメロディーだけで明るくなれるようなものにしようと思いました。だからリリックもシンプルでわかりやすい詞になるように工夫しました」
●それすごく解かります。誰が聴いてもすっと入ってくるキャッチーな曲だと思いました。
「わかりやすいキャッチーな曲は飽きられやすいけど、長く聴いてもらえる曲になったと思っています」
●たしかにエンドレスでヘビーローテーションしたくなる曲です! 次の『お前それすげぇな』は、素直な気持ちになる歌ですね。
「いつもサポートしてくれるバイオリニストさんがいて、ものすごく努力してぐんぐんレベルが上がっているのに認められなくて、精神的に追いつめられているときに僕がなにげなくほめたことがあったんです。よろこんでもらおうと意図して言ったわけじゃなく、素直な気持ちでほめたんです。するとすごくよろこんでくれて。じゃあそれを歌にしようと。たとえばイチローは3割打つのが当たり前と人は思ってるけど、それは当たり前じゃなくて、本当にすごいことだと思うんです」
●なるほど、そこで『お前それすげぇな』なんですね。素直に認めてほめるって難しいけど大切なことですね。
「ほめられて怒る人はいない。ほめられるとうれしいのは人の本能。お世辞ではなく自然体でほめる。とてもシンプルで素直なことなんです。だから歌うときもAメロ・Bメロは地声に近い声で、つくらずに歌ってます」
●僕も素直に人をほめられるように心がけます。3曲目の『パズル』は、感動的なウエディングソングですよね。
「ウエディングの場ってNGワードがたくさんあるじゃないですか。結局あたりさわりなく幸せになってねという歌になってしまう。『パズル』は、できちゃった婚のお二人のために作った歌なんですけど、普通ならそこは触れないところですが、順番が違ってもいいじゃないかという歌にしたんです。新婦さんは1コーラス目の途中から大泣きしてくれて、自分ももらい泣きしそうになりました。会場の空気もとても感動的な?空気になったと感じることが出来ました。会場にいた知らない人から、実は自分もできちゃった婚なんです。と声をかけられたりしました」
●ウエディングソングの枠を越えて、人生の縮図みたいなものがこの歌にはある気がします。披露宴会場が感動の渦になっても不思議じゃないですよ。
「結婚式もライヴだとするなら3本の指に入るくらい今までの中で良いライヴでした」
●新曲ではない『Enquete』ですが。
「5年くらい前の曲ですね。『秋を並べて』も含めて新曲というコンセプトからズレるんですけど、プロデューサーや社長が気に入ってくれたのでレコーディングしました。聴いて直感的に誰もがよくわかる曲なので、ストリートで是非やりたい曲ですね」
●質問をただ羅列しているだけじゃない、普遍的な問いかけですよね。説教臭くなくていいと思いました。
「ただ質問を並べているだけじゃなくて、相手の気持ちを解放させてあげるための質問なんですが……、あまり種明かしするとつまんないので(笑)、本当に直感で聴いてもらったらうれしいです」
●そして応援歌とも言える『あ、東京タワー』です。
「東京タワーは大好きで何回も行ってます。と言っても、しょっちゅう見に行くと新鮮味がなくなってしまうので、本当に行きたいときにしか行かないです」
●スカイツリーにポジションをうばわれて、東京タワーは遺産のようになってやがて忘れ去られてしまう運命にあるのかなあと思うとさみしいです。僕は引退したスポーツ選手とか、東京タワーを人生の中で、いろんなものに置き換えて聴ける歌だと思うんです。
「実は何かに置き換えるなんてことも考えてないくらい純粋に東京タワーが大好きなんです!」
●そうなんですか。一途に東京タワーを愛している谷修さんが素敵です。では、ボーナストラックの『秋を並べて』。これは昭和のノスタルジックな情景が広がる抒情的なフォークソングっぽい曲ですね。
「ディレクターさんが気に入ってくれて、NHKっぽいと言ってくれました。大阪でワンマンライヴをしたときに(もうそのころは東京に住んでいた)、ライヴに人が集まらなくて、あ~自分は忘れ去られていくのかなぁ、今もどこかで歌っているから忘れないでほしいなぁと思って書いた曲です。ちょうど秋だったので、秋を並べて、その中に自分も思い出して入れてほしいという意味を込めました」
●えっ! そんなモチーフの歌だったんですか。変わらない大切な気持ちみたいな、すごくセンチメンタルな曲だと思っていたのに(笑)。
「あ、夢が壊れちゃいました?(笑)。悪態ついたり愚痴になるとめめしくなるので、センチな曲に仕上げました」
●だ、大丈夫です。では最後に『You got a mail!』ですが、エネルギッシュでアッパーなロックサウンドですね。
「これこそ曲が出来なくて本当に煮詰まってたときの歌です。なかなか出来ないから、曲ができなくてイライラしている気持ちを歌にしようと思って作った曲です」
●苦しいときに自分をさらに追い込む手法はすごいです。アーティスト魂を感じます。
「ひと皮むけないと新しい歌も出来ないし、刺激を受けないと出来ないし。でも、もともとロックが好きなんです。だけどアルバムの中にロック色の強い曲を入れてもファンのあいだでは印象が薄いみたいで(笑)。この曲は、サビをポップにしたことで聴きやすくなったと思います」
●では、そんなアルバム『カラフルビーム』ですが、ファンの人にはどんなふうに聴いてほしいですか?
朝は『カラフルビーム』でテンションを上げてもらって、ちょっとセンチになったときには『秋を並べて』とか、日常のいろんなシーンの中に谷修の歌があるという感じで、いつ聴いてもどこで聴いてもいい、そんな聴き方をしてもらえるとうれしいです」
●最後にこれからの谷修さんについて、目標を教えてください。
「Zeppツアーです」
●ドームツアーじゃなくて?
「一番うしろの席の人にもきちんと歌が伝わる、そして音響設備が最初からあるという点でZeppツアーです。これは昔から変わらない目標です」
●その目標もいよいよ手が届くところまできましたね。楽しみにしています。今日はありがとうございました。
「ありがとうございました」